【レースまで】
4月16日のブログに書いたように、今回の“宮古島トライアスロン”は、
「タイムには拘らずに、その時その時、その場その場で状況判断しながら、体と相談して潰れないように最後まで持ち堪えられるペースで、辛くないレース展開をしたいと思っています。」
っと、肩の力を抜いての出場だった。が、ロングディスタンスのトライアスロンを完走できるだけのトレーニングは行って臨んだ。当たり前のことだが、ブッつけ本番の出場では命に係わることもある。それがトライアスロンだ。そんなリスクのあるレースでも完走できる自信を持っていた。
しかし、心配もあった。気温、湿度、風etc.‥気象条件によってレースはいくらでもハードになる‥自然はレースをより困難にしてくれるのだ‥トライアスロンは当日の気象と身体との両方のコンディションを感じながら、賢くレース展開しないと、ただただ苦痛と戦うことになってしまう。それでは楽しめない。今までにも何度も失敗と成功を繰り返してきたが、トライアスロン歴28年目(のハズだが)になって、速くフィニッシュするだけではなく
「巧くフィニッシュする面白さ」
も楽しむようになっていた。
今回はこの
「巧くフィニッシュする面白さ」
と宮古島のロケーションを楽しむことに重きを置いて出場した。
さて、レース前日の宮古島は‥
‥波浪警報が出ていた‥もし、この日がレースだったら、スイム中止は確実でバイクでは恐らく‥2倍以上の距離を走るぐらい過酷なモノになっていただろう。
レーススタート時刻は午前7時。
「それまでにどれだけ風がおさまるのか?」
どうにもできない自然の気まぐれに任せるしかなかった‥
そしてレース当日、ホテルを朝4時半頃にバスで出発し、スイム会場の東急リゾートホテルへ向かった。会場に着くと、スイム中止の声は聞こえてこなかった‥まだ暗い海だったが、波は大したことなかった。
左腕にナンバリング、スペシャルドリンク預託、懐中電灯で照らしながら自転車の準備。それから日焼け止めとワセリンを塗り、スイムフィニッシュのトランジットバッグをセット。残り2つのトランジットバッグを預けるetc.‥を済ませてスイムチェックインの時間を待っていると、予定通りに3種目のトライアスロンを実施すると公式のアナウンスがあった。
早めにスイムチェックインして、ワクワク感に不安と心配とが入り混じった複雑な気持ちをポジティブにしようと心がけながらアップをして、余裕を持ってスタートに並んだ。
【レース】
一日がかりのレースを冒険旅行のように楽しみたかったが、競技でもあるので真摯に臨んだ。緊張感から逃れたいためか、冷めた気持ちでスタートしていたが、緊張し過ぎるよりは良かっただろう。スイムのスタートラインは約50mの幅しかない。1,500人の選手がそこから一斉にスタートするので、お互いに体をこすらせながら泳いでいた。殴られたり蹴られたり、背中に乗られたりもしたが、ただ我慢するだけだった。混雑した中を「順番通り」に進むしかなかったが、途中でゴーグルをズラされたり、顔を蹴られたり‥急ぐ気持ちが無かったので冷静にしていられたが、先を急ぐとしたらどうしたら良いのだろうか?‥
‥300m 進んだ辺りからだと思うが、徐々に普通に泳げるようになってきた。右回りに三角形を描くコースの最初の一辺は600m。最初のコーナーまでは混雑の比較的少ない外側をゆっくりと2ビートで泳いだ。混み合った中で急いでも体力を消耗するだけだと判断したのだ。最初のコーナーを曲がると1,100m の直線になるが、ここは潮流に逆らって泳ぐことになった。できれば集団の中で抵抗を減らして泳いだ方が賢いのだが、タイムに拘っていなかったので、泳ぎやすさと海底を観光(?)したかったので、コースロープから離れて空いている外側を泳ぎ続けることにした‥6ビートと4ビートを切り替えながら消耗しないように‥
右オープンの呼吸なので内側を泳ぐ選手たちの集団が目に入ったが、なんとなく内側の選手達よりも速く泳いでいるような!?不利な条件で泳いでいるのにナンでこっちの方が速いの!?
‥やはりゆっくり入り過ぎたのだろう‥けれど後半に体力を温存したかったしロケーションも楽しみたい‥ってことでイイことした。
とにかく宮古島の海だ!今までのこのレースで魚やウミヘビばかりか、ウミガメも見たことがあった。こんなに沖に出て泳ぐなんてレースでなければチャンスは無いので割り切って楽しんだ。‥本当に奇麗だった‥
2つ目のコーナーを曲がって最後の直線を1,300m 浜に向かって泳いだ。ここまで来ると、タイムを意識して6ビートで先を急いだ。周りは同レベルの選手達ばかりなのに、そこそこ追い抜いていた。
スイムを終えて浜から上がり、トランジットバッグを取って更衣室のテントへ向かった。浜から300m ぐらいだろうか?結構、裸足で走らなければならない。ウェットスーツを脱いでやはり裸足でバイクラックまで走り、バイクラックから乗車ラインまで自転車を押して、更に裸足で走る。トータル400m 以上は裸足で走ったのではないだろうか?
乗車ラインを越えて自転車にまたがり、ペダルに着けておいたバイクシューズの上からペダルをこいで加速してからバイクシューズに足を入れた。
さて、毎回、一番順位が悪いバイクパートだ。今回も、イーブンペースで乗り切ろうとマイペースでこぎだした。
早速、伊良部大橋を渡る!両サイドに見える海はやはり綺麗だ!薄い雲が広がっていたが日差しがあったので、透明な緑色の美しい海を見渡すことができた!ラッキーだった。バイクコースで伊良部大橋を渡るようになったのは前々回大会から。ワタクシにとっては初めて走るコースだった。伊良部島はアップダウンの多いコースなので、意識的にペースを抑えていた。島内を廻って再び伊良部大橋を渡って宮古島へ戻るのだが、この橋の勾配もナカナカのものだった。
自転車は登り坂が難関になるが、風も大きく影響する。今回のバイクは風との戦い、特に強く吹いていたわけでは無いが、随時影響を受けていた。いつもの如く、どんどん追い抜かれていたが、脚の調子を確認しながら最後まで回し続けられるペースでペダルをこいだ。
「どうせランで追い抜くからネ‥」
っと、心の中で言い自分を慰めながら‥
池間大橋は前日のような風は無かった。‥橋の端から端まで幟と大漁旗が並んでいた‥ここも往復とも橋の両サイドを観光(?)しながら美しい海の景色を満喫できた!
西平安名崎から東平安名崎までは、左側の海岸線の景観と右側の広々と広がるサトウキビ畑を見渡して楽しんだ‥
そして東平安名崎。意外と風は強くなかった。灯台の前でUターンして細いコースを対面通行するが、混み合っていなかったので走りやすかった。そして、大きなアップダウンを繰り返して‥上野村へ入った。ここにも長い登り坂があったが、沿道から大勢の方の声援を受けた!登りながら声援を受け続けて、ペダルをグングン踏みつけていた!‥感謝、感謝!‥
3つ目に渡る来間(くりま)大橋の往路は追い風、復路は向かい風だったが、特に強く吹いてはいなかった。
島を一周して、東急リゾートホテルを通過し、残り30km 程になってから少々ペースアップした!‥けれど、向かい風!思うようにスピードが上がらなかったが、多少は追い越して順位を上げていた。ラスト5km も更にペースアップして、バイクフィニッシュ‥メカトラブルやアクシデント無く、バイクが終わったので一安心‥完走が見えてきた。
トランジットでは、脇と足にたっぷりとワセリンを塗って落ち着いて準備!
そして、ランスタート!
下りから始まるランコースだが、脚が重く感じた。それでも次々と前の選手を追い抜いていたが、当初、漠然と思っていた
「ランでは3時間40分前後‥あわよくば3時間半を‥」
っと言う思いはすぐにあきらめた。
「4時間ぐらいかなぁ?」
っと、体の状態を確認していた‥
『どうせランで追い抜くからネ‥』
っと心の中で言っていた通り、面白いように前の選手を追い抜いて行く!
2km を過ぎて商店街に入ると、沿道から大声援を受けた。宮古島の声援はとても間近に感じる‥実際に近くてハイタッチもできたが‥明るく賑やかで温かい声援や楽器の演奏、スピーカーからの音楽‥商店街を抜けるまでずっと続いていた。
このランコースはアップダウンが多い。フルマラソンだけ単独で走ったら、2時間55分も切れないかもしれないようなタフなコースである(昨シーズン、別大マラソンは2時間49分)。気温もそこそこ上がっていた。背中に感じる陽射しがアツかった‥キャップの前後を変えてツバで後頭部に陽が当たらないようにした‥
10km を過ぎてペースが安定してくると、その時点での疲労度と自分の体力を確認して最後まで続けられるペースを確かめた。
「5分後半/km ‥28分/5km で走れそうだ‥」
「‥アップダウンが多い。ラップタイムは区間の状況(アップダウン)で変わるから気にしなくてイイな」
トライアスロンは3種目の総合タイムで争うモノだ。最初のスイムもつなぎのバイクも、そこで出し切ってはランで潰れてしまう。今回は、スイムもバイクもワタクシのパフォーマンスレベルに合ったペースで展開してきたのだと、ここまで来て悪くなかったのだろうと感じていた。
フラットな部分が少ないコースなので、重心の位置と足の着き方etc.に気を付けてダメージを受けにくい走りをしようと気を付けた。
折り返してもペースは一定していた。長い登り坂では遅くなったが5km のラップは29分後半でカバーできた。
35km を過ぎるとペースが落ちていたが6分/km は切っていた。途中のトイレタイムとエイドステーションの時間を入れなければフルマラソンを3時間55分ぐらいのペースで走っていたのだと思うが、
「‥辛くないレース展開をしたい‥」
と思っていたので、エイドステーションでのロスタイムはいつもに比べて大きかったと思う。
残り5km を通過すると
「このレースも残り28分程で終わりか‥」
っと、さみしい気持ちになってきた。もちろん、速くフィニッシュしたい気持ちの方が多かったけれど、いつまでもこの雰囲気を味わっていたい気持ちもあった。
商店街では
「お帰りなさ~い!」
「あと少し!ワイドー!」
「ナイスラン!」
‥‥
‥
様々な声援をかけて頂いた。両サイドに代わる代わる手を挙げて応えながら‥ウルウル‥ただただ感謝。
フィニッシュ会場手前は長い登り坂。もうスピードを上げても最後まで耐えられるところまで来たのでペースアップ!ポツポツと見える前の選手を一人づつ追い抜いた。競技場の入り口まで来ると、400mトラックのバックストレートから第3コーナーまでに3人の選手が見えていたが、全員を追い抜くだけのスパートができた。
ホームストレートではサングラスを外し脱帽し、フィニッシュの準備をして更にスパート!
‥そしてフィニッシュ!
スタッフの方が速やかに対応して、完走メダルとタオルをかけてくださった。完走Tシャツを頂くと椅子へ誘導してくださりアンクルバンドを外して頂いた
「有り難うございました」
「有り難うございます」
「有り難うございます」
‥‥
‥
フィニッシュ後は、できるだけ多くのスタッフへお礼を言いながら導線を進んだ。
「‥辛くないレース展開をしたい‥」
ラストスパートができたので、この目標は達成できたことにしたいのだが、フィニッシュ後の疲労感はタダモノではなかった。
「疲れた‥あと何回、挑戦できるだろうか?」
フィニッシュ直後に、こんなことを考えるようなレースであった。
【レース後】
今回も、大会関係者の皆さんと応援してくださった皆さん、大会を支えてくださった全ての皆さんに感謝してお礼を申し上げます。
「有り難うございました。」
人気の大会に幸運にも出場できたことに感謝し、無事に完走できたことにも感謝致します。
4月のレースに照準を合わせるには冬の間にしっかりとトレーニングを積まなくてはならないが、自転車のトレーニングがどうしても少なくなってしまうのが現状で、反省点でもある。また、2月の“別府大分毎日マラソン”に出場すると、心身共にそこで疲労困憊してしまい、そこから回復する期間が年々長くなっているようにも思える。
そんな状況の中で、この大会を楽しみ、疲れきるまで力を出し切ったことには、ワタクシ自身誇りに感じている。
トライアスロンを誰のためにやっているかと言えば、ワタクシ自身のためなので、タイムが遅かろうと速かろうと、誰にも何らと言われることも無いので、堂々とこのレースで完走したことを讃えたいと思う。
《 記 録 》
swim (3km) 1:04:47 s順位 441
bike(157km) 6:03:24 b順位 881 (通過順位:779)
run(42.195km) 4:03:18 r順位 139
total(202.195km) 11:11:29 316位 (男子順位:293)
※b-finish:779位→r-finish:316位(463位up)
※総合タイム:大会自己ワースト!?
《 参加選手データ 》
スタート 1,552人 棄権 s:100人, b: 49人, r:140, 失格 0
完走者数 1,263人
完走率 81.4%
スナップ
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どんトラ (日曜日, 30 4月 2017 19:38)
夢中になって拝読しました。タイム狙いでなくても11時間11分29秒は速いです!ベテランの味ですね。トライアスロンを始めて4年目ですが、辛くないレース展開をできるようになりたいと思います。
これからも益々頑張ってください。
栗田浩三 (日曜日, 30 4月 2017 20:16)
どんトラさん、
コメント有り難うございます。
レースの楽しみ方や価値観は人それぞれだと思います。ボロボロになって辛い思いをすることを求める人もいるでしょうし、ワタクシのように辛い思いはしないようにレース展開したい人もいてイイと思います。
その時その時で、レースに求める物は変わると思いますが、長く続けられるように楽しんでください。